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AMAterrace通信 【第3回】超高齢社会における「承継」の羅針盤 〜司法書士が拓く、資産と想いを未来へつなぐ道〜

インタビュー:司法書士法人かなえリーガル代表 かなえリーガルグループ統括 新倉 由大 氏

インタビュアー:一般社団法人AMAterrace 事務局 松岡 勇治

日本が直面する超高齢社会という大きな潮流。それは、個人の資産管理から企業の事業承継まで、あらゆる場面で「承継」という課題を私たちに突きつけています。しかし、漠然とした不安を抱えながらも、何から手をつければ良いのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。 今回は、司法書士法人かなえリーガルで、高齢社会の課題解決の最前線に立つ新倉由大氏にお話を伺いました。資産承継のプロフェッショナルである専門家の不足という課題に立ち向かいながら、具体的な解決策として「家族信託」の普及に尽力されています。経営者、そしてそれを支える専門家が今、知るべき「承継」の本質と、未来への備えとは何か。そのヒントを探ります。

避けられない未来、「高齢社会」がもたらす本質的な課題

新倉氏: やはり「高齢者サービス」になります。家族信託やおひとり様サポートもそうですし、従業員承継といったテーマも含みます。 日本は、高度経済成長期から成熟社会へと移行し、同時に医療技術の発展で寿命が延びました。その結果、少子高齢化が進み、これまでの社会が直面してこなかったような新しい課題が数多く生まれています。 その中で私たちが活動の意義を見出しているのが、高齢社会の課題解決を担うサービスの提供です。個人のお客様であろうと、法人のお客様であろうと、「高齢化」という大きなテーマに向き合うと、自然とそこへ私たちの事業がフォーカスされていきます。

松岡: 「高齢化」というキーワードで捉えると、確かに個人・法人の垣根なく、あらゆる承継の問題につながっていきますね。

専門家が向き合うべき新たな役割と、連携の重要性

松岡: 高齢化に伴う承継の問題は多岐にわたりますが、その中でも最大の課題は何とお考えでしょうか?

新倉氏: 私たちのような専門家のあり方、そのものだと感じています。この複雑化する承継の問題に対し、十分なスキルセットとマインドセットを持ってサポートできる専門家が、世の中にはまだまだ足りていない。これが一番の課題です。私たちだけが頑張るのではなく、この問題に取り組むプロフェッショナルがもっと増えていく必要があると感じています。

松岡: 私は税理士なのですが、税理士の立場から見ても、税務面だけでなく法務面でのサポートの重要性を痛感します。その点で、司法書士である新倉さんがこの分野に取り組まれる強みはどこにあるのでしょうか。

新倉氏: 司法書士は、古くから登記制度を通じて権利関係を明確にし、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」の立場で皆様と関わってきました。相続が「争続」になってしまうのを防ぐ、という役割もその一つです。 また、他の士業と比べて、より身近な相談相手としてアクセスしやすい存在なのではないかと感じています。 もちろん、一つの専門分野だけで完結することはありません。税理士、弁護士、不動産、保険など、様々なプロフェッショナルと連携し、ネットワークを広げながら課題解決にあたっていくことが不可欠だと考えています。

松岡: そのためのプラットフォームが「トリニティ・ラボ」なのですね。

新倉氏: はい。トリニティ・ラボには、現在1,000名を超える様々な分野の専門家の方々に有料会員としてご参加いただいています。ここでは、ラボの立ち上げ当初から、お客様が課題・ご不安な問題を解決するために現場で培ってきた家族信託や事業承継に関する専門的な知識やノウハウをコンテンツとして提供し、皆様のスキルセット向上を支援しています。

未来への安心を契約する「家族信託」という選択肢

松岡: 特にトリニティ・ラボの強みであるコンテンツの一つの「家族信託」についてお伺いします。これはどのような使われ方が最も多いのでしょうか。

新倉氏: やはり、その多くが「認知症対策」です。これは個人の資産家の方も、企業の経営者の方も同じです。認知症は一度進行すると、回復が難しいのが現実です。 そうなる前に、ご自身の不動産や預貯金といった財産を、信頼できるご家族に「契約」という形で預けておく。そして、万が一ご自身の判断能力が低下し、資産管理ができなくなった時に、預かっていたご家族が、ご本人のために生活費や介護施設の費用をその財産から支出したり、その資金を捻出するためにご自宅を売却したりといった管理・処分を行えるようにしておくのです。

松岡: なるほど。単に財産を「使う」というより、あくまで「本人のために管理・処分する権限を託す」ということですね。

新倉氏: その通りです。そして、この仕組みは親子双方の不安を解消します。 親御さんにとっては、「自分の財産が、自分のために使われる」という安心感につながります。一方で、お子さんにとっては、「親の介護費用を自分たちの資産から持ち出さなければならないかもしれない」という経済的な不安や、「親の家をどうすることもできない」という膠着状態を避けることができます。お互いの懸念を解消できるのが家族信託の大きなメリットです。

松岡: 「遺言」と似ているようにも聞こえますが、違いは何でしょうか。

新倉氏: 遺言は、亡くなった後の財産の分け方を定めるものですが、後で気が変わり、「やっぱりこうしよう」と、遺言をする本人が最初とは異なる内容の遺言を書き直すことも可能です。それに対し、家族信託は「生前契約」です。判断能力があるうちに、ご自身の意思で、ご自身の財産の管理・処分、そして最終的な承継先までを、ご本人と信頼のおけるご家族との二者間の契約内容として決めておくことができます。元気なうちにすべてを決めておくことで、その後の人生を安心して過ごしていただく。家族信託は、まさに「安心とその後の幸せを形作るもの」だと考えています。

「いつ」始めるべきか?〜対話が生む、次の一歩〜

松岡: とはいえ、非常にナイーブな問題で、親子間でも切り出しにくい話題かと思います。どのようなきっかけで検討を始めるのが良いのでしょうか。

新倉氏: きっかけは、ささいな「親子間の会話」かもしれません。 お子さんの立場では「親がもしも、こうなったらどうしよう…」。親御さんの立場では「周りで認知症の話を聞くようになったな…」。お互いに漠然とした不安は抱えているものです。でも、「まだ元気そうだから大丈夫」「まだ自分は大丈夫」と、先送りにしてしまいがちです。 その漠然とした不安を、一度親子で話してみる。あるいは、私たちが開催するようなセミナーに参加して、「こういう制度があるのか」と知っていただく。それが、具体的な一歩を踏み出す一番のきっかけになると思います。

松岡: 情報を目にすることが、対話のきっかけになるのですね。

新倉氏: はい。私たちの経営理念は「三方よし」です。この家族信託という制度を広めていくことは、お客様(売り手・買い手)の幸せはもちろん、無用な争いや資産凍結を防ぎ、社会をより良くしていく(世間よし)活動そのものだと信じています。私どもだけでなく、多くの専門家の方々と共にこの制度を広め、より多くの方に安心を届けていきたいですね。

松岡: 資産と、そして何より大切な「想い」を未来へつないでいく。その重要性を改めて認識いたしました。本日は貴重なお話をありがとうございました。


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